活動報告

南小泉小学校第5学年・グリーンカーテン2022

1概要

●学校 仙台市立南小泉小学校
●学年 第5学年
●児童数 82名
●教科等 教科横断的な学習(総合的な学習の時間、国語、社会、理科、家庭)
●外部連携 せんだいE-Action実行委員会、シンプル&スローライフの会

●支援の方向性
昨年度に引き続いて、仙台市立南小泉小学校5年生の先生方から支援要請があった。総合的な学習の時間では、国語や社会、理科、家庭と関連させながら「目指せ!省エネマスター」を年間テーマとして、以下のような学習活動を行っている。

  1. 1 オリエンテーション
  2. 2 エネルギーと地球環境問題について考えよう
  3. 3 今日からはじめる省エネ行動
  4. 4 明かりを灯そう
  5. 5 自分の考えを発信しよう

この中の活動3「今日からはじめる省エネ行動」においてグリーンカーテンを育ててその効果を検証したいということで、南小泉小学校5年生の学習プログラムに沿った形で支援していくことにした。

●主な支援内容

2支援の実際

●出前授業1「オリエンテーション&種の贈呈式」(5/16)
はじめに、MELONのスタッフから、SDGsや気候変動、具体的な対策としてのグリーンカーテンの話を子供たちにさせてもらった。次に、せんだいE-Action実行委員会とともに省エネ活動を推進している伊達武将隊にゲストとして来てもらい、演武を見せていただいた。その後、ゴーヤとアサガオの種を贈呈してもらい、導入が終了した。
授業後の感想を見ると、「グリーンカーテンがSDGsの一つだと思ってもみなかった。しっかり育てて涼しくしたい。」「植物は二酸化炭素を吸って酸素を出すと聞いたことがあるので、地球温暖化のことを詳しく聞くことができてよかった。」「もらった種を大切に育て、グリーンカーテンを作り、SDGsに貢献できるように頑張りたい。」など、意欲が伝わってきた。単なるイベントに終わらず、目的意識を持たせ、これからの活動意欲を喚起させることにつながった。なお、当日は新聞社1社、テレビ局4社が取材に来て、取り上げられた。

伊達武将隊による種の贈呈
インタビューを受ける子供

●土の準備(6/2)と麻縄の設置(6/13)
校舎南側の設置予定場所の地面はコンクリートのため、昨年度に使用した深めのプランターを準備してそこに培養土を入れた。プランターとコンクリートの地面の間に木材を入れて、風通しがよくなるようにした。つる性植物が巻き付くための麻縄をプランターから3階のベランダまで設置する作業をシンプル&スローライフの会の方々にしてもらった。

プランターと土
麻縄の設置

●出前授業2「ヘチマ博士のお話&苗を植えよう」(6/13)
グリーンカーテンを上まで大きく育てるには、ゴーヤとアサガオに加えて、ヘチマが必要となる。そこで、東京でヘチマを育てている農家の金井修氏に今年度も来ていただき、ヘチマの話をしてもらった。夏の暑さを凌ぐためのすだれの紹介、グリーンカーテンの効果、ヘチマのひげと巻き付く習性、10m以上も成長して上に実を付けて種をまくことなど、ヘチマ農家だからこそ知っている内容を聞かせてもらった。「どうしてグリーンカーテンが大切なのですか。」という講師の先生からの問いかけに、「地球温暖化対策のために、少しでもエアコンなどでの電気を使わないようにするためです。」と答えていた。
その後、伊達武将隊からもらったゴーヤとアサガオの種をまいて育てた苗、それと金井氏が育てたヘチマの苗をプランターへ移植した。夏休みも含めて世話をしながら、昨年度よりさらに立派なグリーンカーテンを目指すとのことだった。

委嘱した苗
ヘチマ博士の話を聞く子供たち

●計測のための目盛り(7/5)とデータロガーの設置(7/30)
植物の成長を確かめさせるため、どこまで伸びたかが分かるように目盛りのついた麻縄を取り付けた。また、今年度もグリーンカーテンの日向と日陰の温度の違いを継続して測定するため、データロガーを設置した。グリーンカーテンの外側(外の日向)と内側(外の日陰)、グリーンカーテンがある部屋(中の日陰)とない部屋(中の日向)の4か所に設置した。

データロガーの設置
計測のための目盛り

●生育状況(8/17)
コンクリート上に置いたプランターなので土の乾燥が激しく、休日の水やりは欠かせない作業となった。お盆期間は学校閉庁にも関わらず、先生方に水やりを行っていただいた。
昨年度のこの時期はすでに青々としたグリーンカーテンになっていたのだが、今年度は思うように成長しておらず、ゴーヤとアサガオは伸びないでヘチマもひょろひょろで葉っぱが黄色い状態だった。肥料不足が考えられたので、追肥を施してきた。

追肥のための肥料

●出前授業3「グリーンカーテンの効果を調べよう」(8/31)
8月31日に予定していた効果測定の出前授業は、生育不良のために中止となった。

●生育状況(9/2)
追肥をしたことと先生方の熱心な世話により、生育状況がやや回復した。夏休み明けの学校再開からは、子供たちが水やりの世話をしていった。

8/17のグリーンカーテン
9/2のグリーンカーテン

●「グリーンカーテンの効果を調べよう」(8/31以降学校単独)
生育状況はやや回復したものの、予定していた8月下旬の効果測定は困難なため、後日、学校単独で行ってもらうことにした。効果測定のための放射温度計とサーモグラフィーをせんだいE-Action実行委員会から貸してもらった。しかし、その後の成長も思わしくなく、温度の違いをデータで確認するには至らなかった。

●出前授業4「命のバトン~ヘチマの種取り」(11/21)
グリーンカーテンの撤収を兼ねて、ヘチマ博士の金井氏に出前授業をしてもらった。学校のグリーンカーテンは残念ながら実がほとんどならなかったが、金井氏が育てた乾燥ヘチマをたくさん持参してもらった。
「どうしてヘチマは上にどんどん伸びるのか。」
金井氏の問いかけに悩む子供たち。
「植物の気持ちになって考えると、答えも分かる。」
というヒントをもらって応える子供たちの姿が見られた。
その後、班ごとに乾燥ヘチマが渡され、中の種取りをした。種のあまりの多さに子供たちは驚いていた。一つのヘチマに平均して約450個もの種があった。種は「命のバトン」として、ぜひ来年のグリーンカーテンにつなげていってほしい。

金井氏のお話
ヘチマの種取り

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