公益財団法人 みやぎ・環境とくらし・ネットワーク

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執筆■鈴木美紀子  2007/5/7up
「「いただく」キモチが「エコ」の素」
  「『お茶とエコ』で何かしましょうよ!」とお誘いを受けています。…と言うと、「お茶とエコがどうつながるの?」と思う方も多いのでは。この『お茶』は『茶道』のこと。実は立派につながるんです。と、言うよりも、もともと日本の文化はエコそのもの。
 例えば茶道なら、水は一滴たりとて無駄にしません。ナゼ?水は誰のものでもなく、自然のものを『いただく』から。「水分(みくまり)」という言葉を聞いたことがありますか?昨年、水部会で青下水源地に散策へ出かけた折、鳥居には「水分宮(みくまりのみや)」の文字が刻まれていました。水は自然のもの、それを皆で『分けて』『頂く』から、そのことに畏敬の念を示したのでしょう。
 例えば。衣服を作るにしても、着物は本当に布を無駄なく使います。もし生地が余ったら、草履の鼻緒に、たすきに、巾着に…。「お細工物」だってもともとは着物のハギレの有効利用。着物を作るには生地を織らねばならず、生地を織るには糸がいる。ではその糸は…?結局は自然のものを「いただいて」、そしてたくさんの人の手間暇がかかってできあがっている、だから端切れだって無駄にしない。
布も糸も貴重品。小さなハギレも無駄にせず、季節の花や野菜、動物などを模した小袋などを作ったのが「お細工物」。
写真・左は兎の針山と「花袋」。裏を返すと小さな袋になっています。写真・真ん中と右は1〜3cm角のハギレを縫いつまんで「花」を作りました。たくさん作って「くす玉」にしたのが写真・右。
 とある雑誌の取材記事で、「自然の色をいただく気持ちで作っています」という染師の言葉に目がとまりました。そう、衣食住すべてにおいて人は自然のものを「いただいて」きました。だから日本人は自然の恵みに敬意を示し、その心はさまざまな形で受け継がれてきたのです。
 例えば「いただきます」。そう、「いただく」んです。何から?誰から?ご飯を作ってくれている人に、野菜を作っている人に、野菜を育てる大地やお天道様、自然の恵みに感謝して。敬意を示して、手を合わせて「いただきます」。
 そもそも「礼」とは、相手を敬う気持ちを表したもので、「頂く」は「頂戴する」の意。この考えは立派にエコに通じていきます。私たちの周りにあるものはすべて「いただくもの」だから、材料は無駄なく、そして大事に長く使います。そうでなければ「もったいない」、それに「いただくもの」を粗末に扱ったりしたら「罰当たり」ですよ。

 昔は物がなかったから、という理由ももちろんあります。だから、欲しいものがあったら自分で作るんです。どうしてこの文化は受け継がれてこなかったのでしょう。
 と、私が心から思ったのは実は「化粧品」。肌が弱くて化粧品は一切使えません…。子どもの頃、捻挫をしたらジャガイモを摩り下ろして小麦粉と酢を混ぜて「湿布」を自分で作ったくらいに、肌が弱いのです。社会人になっておっかなびっくり化粧品を使ってみたもののひどい炎症を起してしまい、それを隠すために化粧をして…という悪循環に陥ったことがありました。はじめから化粧水のレシピが各家庭に親から子へと受け継がれていたのなら…!
 この文脈でもうおわかりでしょう。今は化粧水や石けんを手作りしています。驚く女性は多いハズ。けれどもよく考えてみてください。毎日食べる食事にしても、毎日肌に直接つける化粧にしても、結局自分の手で作るのが一番「安心」なんです。手間はかかりますけれども、「得体の知れる」材料でしか作れませんもの。
 手間暇かけて作るから、それが他者が作ったものなら手をあわせて「頂き」ます。自分が作ったものならば、手間暇かけた分だけ愛着がわいて大事に使うもの。「手作りは面倒」「手間がかかる」。そう言わずに何か1つ、手間をかけて作ってみてください。野菜を作るでも、花を育てるでも、料理を作るでも、何でもいいです。どれだけ大変か、身をもって体験しましょう。私たちの周りにあふれているものは、本来それだけ「大変」な思いをして得られるものだから。だから、すぐに「いらない」だなんて捨てないで、使い捨てをしないで、余らせたりしたらもったいないですもの、必要なものを必要なだけ「頂いて」、そして大事に大事にしてください。その心は、気づいてみれば「エコ」だったりもするのです。

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