海洋プラスチックごみの調査結果を公開

はじめに

仙台の海岸に流れ着くプラスチックごみについて、東北大学の大学生と、プラスチックごみ対策に取り組んでいる市民グループのmelon4R部会が協力して調査を進めてきました。

 その調査結果を論文にまとめ、第9回サイエンスインカレという自主研究の大会に出場しました。大会自体は残念ながら新型コロナウイルスの影響で中止となりましたが、今回はまとめた調査結果の内容をお伝えします。

 調査を行っていたのはこちら。

仙台市唯一の海水浴場であった仙台市荒浜の深沼海水浴場です。東日本震災の影響で現在は閉鎖されています。

調査

海岸清掃を行うとこんなプラスチック達が大量に拾われます。

 

こちらの海岸で、流れ着くプラスチックごみの種類や量の調査を行いました。

↑このような調査です。

海に流れ出でしまった場所ごとに分類してみました。

家庭から流れ出たごみもたくさんの種類がありますね。

その中で、今回は工業由来のごみに着目しています。

「工業由来」と聞いても、ピンと来ないですよね。

例えばこういうごみです。

これはレジンペレット。実は今荒浜で拾えるごみの中で一番個数が多いです。

これは工場の中間生産物。石油からこのペレットをつくり、このペレットを溶かして私達がつかうプラスチック製品は作られています。

じゃあこのプラスチックはどこから来たの?と言われると、実はまだよくわかっていません。一般にはペレットを輸送する途中、輸入してきた船から積み下ろす時などに漏れると言われています。

さらにさらに、海岸を調査する過程で、こんな未知の粒を、砂の中からみつけました。

この粒が何か、調べる過程はとても苦労しました。燃やしてみたり、溶媒に溶かそうとしてみたり、電子顕微鏡で見てみたり…

結局大学の先生にもご協力いただいて、プラスチックアナライザーで調査してみました。

その結果、おそらく架橋ポリスチレンではないかという結論になりました(60%~90%一致)。架橋ポリスチレンは、アンテナやソナーレンズに使われるプラスチックで、直径1㎜程度の球はイオン交換樹脂にも使われるそうです。

ただ、架橋ポリスチレンであれば、試料を熱した時に焦げることに説明がつかず、断定できていません。

そのため現在、海洋プラスチックの調査会社にご協力いただいて、詳細な成分を検査していただいています。

このように、海洋ごみは、流出した原因も様々で、またよくわかってないことが多いです。

ただ、1つ明るい結果があります。

それは拾えば、ごみはちゃんと減る!ということ。

以下のグラフは、全く同じ場所で砂の上のプラスチックごみを全て拾い集めた結果のグラフです。

この様に、最初は300個近くあった小さなプラスチックごみも1度拾うと2回目以降は、ほとんど0にできました。

ただ、最後の調査で急増しています。これは台風等で流れ着いたせいだと考えられています。

私達がプラスチックを使うことをやめない限りは、こうしたプラスチックごみを0にすることはできません。

いきなりプラスチックを全く使わない生活をすることは難しいですが、
普段の生活の中で、減らしていけたらと思います。

また、本調査をおこなった仙台市荒浜では毎月第2日曜日に、地元の住民の方やボランティアの方々が海岸清掃を行っています(主催の深沼ビーチクリーンさんのFacebookはこちら)。

よろしければぜひご参加ください。

この記事の最新情報は、大学生が所属している環境系学生団体海辺のたからもののSNS上で随時公開しております(こちら)。こちらもぜひ覗いてみてください。

【東北大学3年、環境系学生団体海辺のたからもの代表、4R推進部会員、事務局 畠山】

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です